超高強度スプリント・インターバルトレーニング (II)
3月28日に書いた高強度スプリント・インターバルトレーニングに関する論文を、一報だけ、ちょっと真面目に読んでみた。非専門家なので、理解できない量(単位)もあるが、大筋は理解できた。カナダMcMaster大学のM. Gibala博士のグループの論文だ。英文アブストラクトの日本語訳を記す(かなり意訳です)。
ABSTRACT
Parraらは、Acta Physiol. Scand 誌において(169巻, P.157-165, 2000)、毎日行う2週間のスプリント・インターバル・トレーニング(SIT)により、クエン酸シンターゼ(合成酵素)(CS) の最大活性は増大するが、無酸素系仕事能力が変わらないことを示したが、それは、おそらく、毎日トレーニングすることによる慢性疲労によるものであると考えられる。最大酸素摂取量(VO2max)は別として、頻度の少ないSITセットの筋肉の酸化能力への影響は知られておらず、SITの有酸素運動能力への影響は全く検討されていない。
我々は、「回復のための1-2日の休息日を挟んで6回のトレーニングを2週間に渡って行うことにより、CSの最大活性とVO2max の80%における持久能力が向上する」という仮説をテストした。方法は、8人のスポーツ愛好者を被験者[年齢22±1歳,VO2 max=45±3 ml/(kg min)] とし、SITの前と三日後にテストを受けてもらうというもので、4~7回の“30秒(all-out)のWingateテスト+4分間のレスト”がその内容である。SITの後、CS最大活性が38%上昇し(5.5±1.0 vs. 4.0±0.7 mmol kg/(protein)(-1) h(-1))、休息時の筋肉におけるグリコーゲン量が26%上昇した(614±39 vs. 489±57 mmol/kg dry wt)(両方においてp<0.05)。
最も注目すべき点は、VO2maxが変わらないにも関わらず、サイクリング能力が、100%増えたことである(51±11 vs. 26±5 min, p<0.05)。サイクルテストの相対標準偏差は12%であり、コントロール群の8人は、ほぼ2週間後に行ったサイクルパーフォーマンステストで変化が見られなかった。我々は、短期のスプリント・インターバル・トレーニング(約15分の2週間に渡る短期のトレーニング)が筋肉の酸化能力を上昇させ、スポーツ愛好者のエアロビックサイクリングの耐久力を2倍にすると結論づける。
参考文献)
[1]Burgomaster, K.A., Hughes, S.C., Heigenhauser, G.J., Bradwell, S.N., Gibala, M.J. Six Sessions of sprint interval training increases muscle oxidative potential and cycle endurance capacity in humans. J Appl Physiol 98: 1985-1990, 2005
これは、やはりすごい。15分のスプリント・インターバル・トレーニングを1-2日のレストを取って行うと、たった2週間のトレーニングで持久力がジャンプアップするというのだから。30 秒全力で4分休憩。我々中年スイマーは絶対にやらない練習だ。プールの時間がもったいないし、前も書いたが、公営プールでやったら大迷惑。しかし、気になるのは、被験者の年齢だ。20±1歳。カナダMcMaster大の大学生に違いない。3月28日のブログに書いたときは、論文をよく読んでおらず、勝手に中年スポーツ愛好家と決め付けていた。20歳で、寮に住んでて、通勤地獄なし、そして、たぶん、睡眠充分。一方、我々マスターズスイマーの大半は、40歳以上で、平日の睡眠は4-6時間、通勤1-2時間である。1-2日のレストで続けると、オーバーワークになる可能性がある。プールでやるのが無理なら、週一回エアロバイクでやってみるくらいが私にはいいのかもしれない。しかし、自由形のスプリントのキックに合わせて90回転/分の高めの回転数でジムでやると、周りは”ひく”だろうなあ。しかし、かといって、自宅でやると、家人が寝静まった夜はうるさくて迷惑に違いない。
自宅のエアロバイク
Parraらは、Acta Physiol. Scand 誌において(169巻, P.157-165, 2000)、毎日行う2週間のスプリント・インターバル・トレーニング(SIT)により、クエン酸シンターゼ(合成酵素)(CS) の最大活性は増大するが、無酸素系仕事能力が変わらないことを示したが、それは、おそらく、毎日トレーニングすることによる慢性疲労によるものであると考えられる。最大酸素摂取量(VO2max)は別として、頻度の少ないSITセットの筋肉の酸化能力への影響は知られておらず、SITの有酸素運動能力への影響は全く検討されていない。
我々は、「回復のための1-2日の休息日を挟んで6回のトレーニングを2週間に渡って行うことにより、CSの最大活性とVO2max の80%における持久能力が向上する」という仮説をテストした。方法は、8人のスポーツ愛好者を被験者[年齢22±1歳,VO2 max=45±3 ml/(kg min)] とし、SITの前と三日後にテストを受けてもらうというもので、4~7回の“30秒(all-out)のWingateテスト+4分間のレスト”がその内容である。SITの後、CS最大活性が38%上昇し(5.5±1.0 vs. 4.0±0.7 mmol kg/(protein)(-1) h(-1))、休息時の筋肉におけるグリコーゲン量が26%上昇した(614±39 vs. 489±57 mmol/kg dry wt)(両方においてp<0.05)。
最も注目すべき点は、VO2maxが変わらないにも関わらず、サイクリング能力が、100%増えたことである(51±11 vs. 26±5 min, p<0.05)。サイクルテストの相対標準偏差は12%であり、コントロール群の8人は、ほぼ2週間後に行ったサイクルパーフォーマンステストで変化が見られなかった。我々は、短期のスプリント・インターバル・トレーニング(約15分の2週間に渡る短期のトレーニング)が筋肉の酸化能力を上昇させ、スポーツ愛好者のエアロビックサイクリングの耐久力を2倍にすると結論づける。
参考文献)
[1]Burgomaster, K.A., Hughes, S.C., Heigenhauser, G.J., Bradwell, S.N., Gibala, M.J. Six Sessions of sprint interval training increases muscle oxidative potential and cycle endurance capacity in humans. J Appl Physiol 98: 1985-1990, 2005
これは、やはりすごい。15分のスプリント・インターバル・トレーニングを1-2日のレストを取って行うと、たった2週間のトレーニングで持久力がジャンプアップするというのだから。30 秒全力で4分休憩。我々中年スイマーは絶対にやらない練習だ。プールの時間がもったいないし、前も書いたが、公営プールでやったら大迷惑。しかし、気になるのは、被験者の年齢だ。20±1歳。カナダMcMaster大の大学生に違いない。3月28日のブログに書いたときは、論文をよく読んでおらず、勝手に中年スポーツ愛好家と決め付けていた。20歳で、寮に住んでて、通勤地獄なし、そして、たぶん、睡眠充分。一方、我々マスターズスイマーの大半は、40歳以上で、平日の睡眠は4-6時間、通勤1-2時間である。1-2日のレストで続けると、オーバーワークになる可能性がある。プールでやるのが無理なら、週一回エアロバイクでやってみるくらいが私にはいいのかもしれない。しかし、自由形のスプリントのキックに合わせて90回転/分の高めの回転数でジムでやると、周りは”ひく”だろうなあ。しかし、かといって、自宅でやると、家人が寝静まった夜はうるさくて迷惑に違いない。
by yfmiura
| 2006-05-16 18:46
| コラム
マスターズ水泳トレーニング日誌:40歳で泳ぎ始め、ベスト、25M Fr:13秒67(44歳)、50M Fr:30秒17(SC)(44歳)、100M Fr:1分11秒83秒(SC)(49歳)。まだノビシロはかなり残っていると信じています。
by yfmiura
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